永田良介商店

神戸 旧乾邸

神戸指定有形文化財、指定名勝 
建築年:1936年(昭和11) 
所在地:神戸市東灘区

乾汽船株式会社(本社:東京都)を設立した乾新治氏の自宅として建築。
神戸・海岸通の商船三井ビルディングなどを手掛けた建築家・渡邊節氏が設計しました。関西の財界人が大邸宅を構える住宅地の中で、当時からひときわ存在感を放っていた邸宅です。

ゲストルーム

邸内で最もこだわりを持って造られるであろうゲストルームをはじめ、独立家具を含む主な室内意匠については、建築家・渡辺氏から3代目善従に託されたものと考えられます。中央の暖炉上部、続くイギリス中世のジャコビアン様式(17世紀前半のイギリスのルネッサンス期に発展したデザイン様式の一つ。)の壁面が、落ち着きのある空間をもたらしています。

応接家具(ソファ)

ゲストルームに彩りを添えるため、現在の乾氏の住居で実際に長年ご使用いただいているソファを再現しました。
フレームはナラ材を使用。手摺と背面のモダンな編み目のデザインが、ソファをどの角度からも格調高く見せます。
座面と専用のクッションは光沢のある高級ベルベットで仕上げました。

暖炉(上部)

大きな窓からの光が差し込むゲストルームでまず目に止まるのは、高い天井から吊るされた豪華なシャンデリア、そしてその背後にある暖炉上部の装飾です。チーク材による重厚感と優美さをあわせ持ち、正面の幕板には葡萄をモチーフにした見事な彫刻が施されています。さらに両側に柱頭飾りを持った丸柱が配置され、中央に飾られる絵画などをより一層引き立てます。 

玄関ホールの階段

チーク材のその美しい木目と重厚感が生きる階段や壁面。特に吹き抜けの高い天井をめざすかのように取り付けられた豪華な階段は、玄関ホールを格調高く、迫力ある空間へと導いています。また、階段を上らずとも下から眺めているだけで十分な満足感が味わえる手摺りの透かし彫りは圧巻。善従が考案したであろう華麗な草花をモチーフにしながら力強さも伝わる巧みなデザインは、ジャコビアン様式を感じさせます。

階段の親柱

上部のカップ調の彫りものから鮮やかな彫刻が施された下部の柱まで、その凝りに凝った形状には、手摺りの彫刻と同じくジャコビアン様式が取り入れられています。 

飾り用テーブル

玄関ホールの階段下、壁に沿って置かれた飾り用テーブル。 正面からでは気づきにくい脚のつくりが、左右から視線を向けるとこのテーブルのすべてを語る一つの彫刻作品であることが分かります。階段の手摺りと同じ流れを汲む草花をモチーフにしたデザインで、なめらかに渦を巻く流線は美しさと豪華さを兼ね備えています。

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