芦屋 旧山邑邸
国指定重要文化財
建築年:1924年(大正13)
所在地:兵庫県芦屋市
神戸・灘の酒造家、8代目山邑太左衛門氏の別邸として、旧帝国ホテル建設のため来日していた近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト氏が設計。その後急遽帰国することになったため、弟子であった遠藤新氏や南信氏らがライト氏の意向を引き継ぎ、完成させました。
復元された机と小椅子
当時、山邑邸で使われていた家具は、造りつけの家具以外すべてが永田製でした。そこで、ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)竣工90周年記念として企画された机と小椅子の復元を永田が担うことに。復元作業は、阪神・淡路大震災前に神戸の山邑家で実測された図面と写真を元に進められました。
小椅子
凛とした佇まいは、背もたれの上部から脚元までを貫く長い格子があるからこそ。このような縦格子はライト氏のデザインの特徴の一つとされています。また座面下の側面は、2枚の板を込み栓(柱や土台などを固定するために2材を貫いて打ち込まれる木材のこと。)でつなぐ方法が取り入れられ、独特のデザインを生み出しています。
机
一般的な机と異なり、中央寄りにある脚の両外側に引き出しや戸棚が設けられ、天板が突き出しています。これはライト氏の建築の特徴として同館にもみられるキャンティレバー(部材の片側は柱や壁に固定されて反対側は空中に浮いている片持ち式構造を表す建築用語。)そのもの。太く大きな脚のバランス良く全体を支える姿が美しい机です。
遠藤氏が設計した他の建築物の家具にも類似したいくつかの特徴があることから、復元された机と小椅子は恩師の意向を反映した氏考案のデザインだと考えられます。